ながせの哲学

ソバラー倍増計画(案)

僕はできるだけ多くの皆さんに、蕎麦の魅力を伝えたい!
本当は蕎麦は美味しいですよ、よろしければながせに来てください、ということについて書きたいと思います。

ラーメンってときどきブームが来ますよね。ご当地ラーメンブームとか豚骨ブームとか。
うどんも讃岐うどんブームとかありましたっけ。たしか。
蕎麦はどうなんでしょう。
まったくない訳でもないんでしょうが、きたよ!ビッグウェーブきたよ!という思い出はありません。
手打ち蕎麦ブームって聞いたことがあるようなないような、いやないな。
なぜでしょうか。

まずはラーメンについて考えてみましょう。うどんはちょっと横に置いておくとして。
ラーメンの最大の特徴はなんといってもバラエティの豊富さですよね。
醤油、味噌、豚骨、塩など、スープの種類からして圧倒的な魅力で選択を迫ってきます。
しかもお店ごとに様々な工夫をこらして特徴を出してますから、誰でもお気に入りの店を見つけられるのではないでしょうか。
で、蕎麦はどうかといいますと、基本的にもり系(冷たいやつ)とかけ系(熱いやつ)の2種類です。
いずれも和風だしで醤油味のつゆと相場が決まっており、基本的に選択の余地はありません。
蕎麦に添える具材によってバラエティを出してはいますが、ラーメンの多彩さに比べると地味な印象は否めません。

ラーメンはまだ歴史が浅い食べ物です。
試行錯誤の余地がまだ十分にあり、新しい試みもわりと抵抗なく受け入れられる傾向にあります。
一方、蕎麦はすでに一つの形が出来上がっており、同じ方向への進化の余地があまり残されていません。
二百年以上にわたる歴史のなかで磨かれながら、創造と淘汰を繰り返しようやく落ち着いた結果が現代の蕎麦です。
変わり種の蕎麦がないわけではありませんが、けっして一般に受け入れられているとは言えません。
繊細な風味が蕎麦の大きな魅力ですから、それを殺すような個性の強いスープや具材との相性は良くないのでしょう。
もちろん、まったく新しい蕎麦の形を模索することも大切だと思いますし、僕自身、見たことのない蕎麦がいつか現れるのを楽しみにしています。
ですが、今の僕がその道を選ぶことはありません。
今の僕はまだ、先人の通った道をたどるので精一杯ですし、またそれを楽しんでいます。
たとえ進化の余地が小さくても、先人が作った道のその先を極めるのが今の僕の進むべき道なんです。

現代の蕎麦は一つの完成形に到達しましたが、きっとまだその本当の魅力を皆様に伝えきれていません。
蕎麦の魅力はラーメンや焼き肉とはまったく違うものです。
素材そのものが持つ繊細で爽やかな香り、わずかに粒状感の残る独特の舌触り、にもかかわらずツルリとした心地良い喉越し。
蕎麦には他の食べ物とは違う魅力があります。
余分なものを削ってこそ表れる蕎麦の魅力は、「わびさび」のような日本古来の美意識によって初めて見出されるものなんじゃないかと思うわけです。
ラーメンや焼き肉が、ただ口に運ぶだけでその魅力を強烈に主張するのに対して、蕎麦の主張はとても控えめです。
だから食べる人のほうから積極的に耳を傾けてやらないと、それはなかなか伝わらないかもしれません。
言葉で伝えきれない蕎麦の魅力、それを少しでも皆様に伝えたい!
ながせの蕎麦にはそんな僕の願いも込められています。

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